ホドロフスキーのDUNE

ドキュメンタリー「ホドロフスキーのDUNE」を視聴
ホドロフスキーの素晴らしいクリエイティビティとエネルギーが分かる。 映画DUNEに掛けた情熱が伝わってくる。

南米出身者が北米で活躍する事の難しさと、芸術と商業映画の違い。
ヨーロッパでの大ヒット「ELTOPO」「holly mountain」

DUNEの制作についての語り、面白楽しくてしょうがない、感動もある。 渡仏、脚本、コンテ、映画を作るために魂の戦士を集める事。

ヒッピーのようだったダン・オバノンも魂の戦士。LSD?? やばいんだけど、オバノンとの邂逅*1がすごい面白くてやばい。

画家のダリ、ミックジャガーオーソン・ウェルズ錚々たるメンバーを口説くときの逸話の数々。
美食家のオーソンウェルズには、参加してもらうために彼行きつけのレストランのシェフを雇って毎日食べられるようにするという。

映画を作りは結婚のようなもので、花嫁が純白ドレスのままでは生み出すことはできない。 ドレスを剥いて原作レイプを大いなる愛で行うのだと言い切っている。

この映画を1時間半にしてほしいという要望がでても8時間、12時間の映画だ、いや20時間だとホドロフスキーは言う。
Cool!

この中止が決まった後、 DUNEをデヴィッド・リンチ監督が作った。 自分の夢だったDUNEが、才能を認めている別の監督が作った。それを見たらショック死するから見ないと言い張ったホドロフスキー。だが息子に戦士なら見るべきだと言われて病人のようによぼよぼになりながら見に行くと。最初涙が出てたまらない、でも見ているうちにだんだん元気になっていった。これは失敗作だ。映画作りの束縛からリンチも逃れられなかった事も同業者として悟っている。

とにかくホドロフスキーがこの映画に人生を掛けて夢を追いかけている姿がたまらないし、製作会社を説得するために作り上げた分厚い資料もイメージを半端ないクオリティで仕上げてる。 これが、のちのSF映画ブームの種になっている。有名映画会社数社に資料を配りプレゼンをして、映画は中止にされたがイマジネーションも技術ものちの作品に影響を与えているというのも頷ける。 スターウォーズでは剣戟やロボットとの訓練など。 ターミネーターもフラッシュゴードンも

ホドロフスキーが集めたDUNEスタッフもその後 ダン・オバノンスターウォーズに参加、リドリースコットはブレードランナーを監督、 ダンとリドリーとギーガーではエイリアンを作っている。

ホドロフスキーはDUNEが中止になってかなり絶望したようだった。 それでも創作に戻りバンデシネかフランスのマンガ*2を完成させたこと、80代でなお創作を続けるという。富野と言い戦中派は強いなと思わされる事が多いです。 そんなGX世代です。

関西の映画館で上映されたエイリアンは岡田斗司夫を宇宙貨物船ノストロモ号の船員にさせるなど、
日本にさえも大きく影響を与えたそれらSF作品のルーツを辿るとホドロフスキーに当たるという事を覚えておきたい。

更に辿るとヨーロッパで発明されたLSDも出てくるらしい。LSDが無ければ今のSF映画は存在しなかった...。 LSDが出たての頃は何に使えるものか分からなかったが、やがて世界を救う物だと信じる一派が出てきて...

とりま、 惑星アラキスで発見された香料メランジは人間の意識を拡張させる。 はっきり薬物だって言ってる。これは当時の状況を表している物で、例えばスパイスを石油に置き換えても成り立つという解釈をしてもいいけど間違ってると思う。 スパイスっていうのは「LSD」のメタファーであり、LSDによって人は意識を拡張して世界革新を起こす時だって信じられたその時代の何かを念頭に置かないとDUNEという作品を読み違える事になるのではないかとかそういう事は思う。

*1:邂逅:オタクがよく使いたがる単語

*2:「LINCAL」