転送装置とレプリケーターとコピーされた意識

楽観主義者の未来予測(上)面白かったよ。いろんなテクノロジーの紹介があってね。 それとは直接関係ないんだけど、その影響から 今帰り道に思い浮かんできた事

新鮮味はないけど、 未来SFにはワープとかテレポート装置とかでてくるんだけど、 スタートレックが有名かもしれない、宇宙船がワープしたり人間を一瞬で移動させる転送装置が登場する。 この転送装置は面白い。 宇宙船の中から星の地上にも別の宇宙船の中にも移動できる。 だから、その装置が簡単に低コストで使えて信頼性がダントツにバツグンでなくても、とりあえず交通事故の被害に遭う確率(2017年の日本のデータを基準にしよう)よりも低いのならば、宇宙船には入り口を作る必要がなくなるんじゃないかな。 映画「スタートレックBEYOND」では街中に転送装置があってみんなそれで移動してるシーンがでてくる。
あの装置って、それからほんの数十年で携帯型にできるんじゃないの?とか。今振り返るとそんな事も思えて来る。

さて、血界戦線BEYONDを見た後だから考えちゃうんだけど、この装置で脳を抜かれるみたいな犯罪が出て来そうで怖いね。普通に生活していたのに異常な犯罪に巻き込まれる、おそロシア

それで、ですよ、 その転送装置を見た時に考えられる疑問があったんです。 転送される対象は、転送する前の物と転送した後の物では同一の物なのかどうか。 同一の物とされる場合は完全に同一のものとしか説明できないボキャブラリーで申し訳ない。 同一の物ではないとする場合は、つまり物の構造その物は全く同じだとしても、同じ心(または意識)が宿っているのかどうかという場合を例に考えてみる方が分かりやすいかなと。

原子のレベルで完全に一致するコピーを一瞬で遠隔地に作れるとしたらそれは転送装置として使えるはずだから。

(いやー多分SFクラスタの人たちから見るとそれは俺たちが3千年前に通過したとか言われるだろうなと思いつつ恥を忍んで以下略)

SFならば、同じ物か別物かは作品の世界設定で決めてしまえばいいだけの事なのだが、 あっ!そういえば、スペースダンディという超優等生で真面目なSF作品があって、その中でこのネタを使ってるお話があって面白かった。失恋ぽい感じの話だったけどね。

これもスペースダンディと同じだけど、 人間を転送する時に転送する前と転送した後の人間が構造は原子レベルで全く同じで、全く同じだから同一人物とされるんだけど、実はコピーを作ってるだけっていう設定だと色々ネタが出て来て面白そうだなと思った。
要点としては、 転送前のコピー元に当たる個人と、転送後のコピー先に当たる個人というこの前と後の敢えて2人と言う事にする。この2人に宿っている意識は別物だという事。それぞれ独立した個人。ただしコピー元は技術的原因によって消されてしまう。 もちろん失敗したら終わりだ!!! 残酷だな!!!

 転送装置を作った企業や一部政府要人が秘密にしてたけど、事実がバレて民衆に反発されて内紛が起きるけどやっぱりその技術を前提に発展して来た世界で、もうそれがないと生活レベルが我慢ならないほど極端に低下するからみんなそれを受け入れるようになる。自分が消えてコピーが代わりに生きる事になるのも納得して使うようになる。コピーだけど宿った心以外は全く同一の個体であり同一人物でしかない、これまでに家族でも誰でも違和感を感じる事なく別人だと感じることもなかったから、もうそれでいいと...。そしてコピーを元にまたコピーされるということが繰り返される。1人の人間が一生のうちで転送するために自分をコピーして別個体へ繋いでいく回数は平均3万回とかいう分析データが発表される世界とか、すげーな。
使いたくない派閥もできて使わないで生活するのは危篤な人たちだ、みたいに見られてる。って感じのお話とか。

 それでこれは、今ある技術の延長上に開発される運命であると言ってしまうのも楽しい。 今ある3Dプリンターとインターネットを使えば、どこかで作られた設計図を、そこから地球の裏側にある3Dプリンターへインターネットで送ってプリントする。 今はやっと原子・分子を操作するという研究もやって来てるらしい。 そこから現実的な可能性を想い触発された人物が天才を集めた多国籍企業を使って先鞭をつけ10世紀くらい後に開発してしまうのだ。 そうして原子レベルで一致するコピーを作る装置が一旦出来上がるとその利便性からどんどん洗練されて行って、簡単に使えて壊れにくいメンテも楽チン、そして人間1人をコピーするのに必要なエネルギーは10kwくらい、材料(ハガレンに載ってる)もリサイクルするからとても安い 一回100円くらいで人間を完全転送できる。

自分を自分として自覚できる意識というものが体に宿っているものだとしたら、そして、その体を完全にコピーできるのであれば、オリジナルと全く同一の意識パターンを持つ意識がそこに宿る事になるのだろうと、それは一卵性双生児のような事を想像してみるとわかりやすいかもしれない、それよりも更に精密な完全なるコピーができているのだ。しかしそれはそれぞれ独立した別の意識なのだ。

悲劇的な事に、この転送装置は転送前の個体を消し去ってしまう。 消え去る理由とかも考えておくと、一瞬で全ての原子の位置とか繋がりの情報を観測するために観測装置が超強力出ないといけなくて、原子一つから全部観測する事まではできたんだけど、観測した結果として観測対象の状態が変化させられてしまう、つまり破壊されてしまう、とかいうと量子力学的な雰囲気がSFっぽさを漂わせてきて面白そうじゃないだろうか。(もう古いかー、古いんだろうなー)

一応、これは同じ物質を原子レベルにまで分解して移動してから再構築するという場合を考えても一度分解された時点でその時に存在していた意識は消え去ると考えるほうが自然に思える。 異なる場所にある物質で再構築するのであれば完全に別の個体だというのは納得できると思う。

もちろんそこからさらに数十世紀後には観測装置が非破壊になって、同じ人間で溢れ出すが、材料のリサイクルができなくなって格差社会になるんだけど同じ人間が溢れ出した事による社会問題とかが出て来てつまりSFコメディが一本でっちあげられるのだ。

と言うわけで楽観主義者の未来予測

楽観主義者の未来予測(上): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする

楽観主義者の未来予測(上): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする

楽観主義者の未来予測(下): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする (ハヤカワ・ノンフィクション)

楽観主義者の未来予測(下): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする (ハヤカワ・ノンフィクション)

レプリケーターを絡めるの忘れてた。レプリケーターって3Dプリンターみたいなものなんだぜ