The DevOps 逆転だ(THE PHOENIX PROJECT)

「The DevOps 逆転だ!」と言う本を読んでます。読んでから何がしか書こうと思いますが、今思う事もメモしておこうと言うことになりました。

概要: 小説形式で会社のIT運用のあり方というものをご教授してくれるいい本です。

雑感: 面白くなるまで時間がかかった。
いろんな理由はあるが、そもそもセットアップ(物語の立ち上げ部分、主要メンバーの配置と物語の動機付け)がつまらないのだ!

それは以前読んだ「THE GOAL」と構造が似ていた。セットアップのつまらなさも似ていた。 しかし、一旦そのポイントを読み越えると、なかなかどうして面白くなってきます。

人物描写も個人個人の感情や内心を描きつつ、それぞれの関係性がドライなタッチで簡潔に描かれていてそのどれもが妙にハマっている。洋画チックなのだ。
一見すると本書の主題であるIT運用についてのお話が減ってしまい疎かになってしまうのではと懸念されるかもしれませんが、
しかし、読者の興味を引いて行こうと努力している結果に違いないと思うので、私はとても肯定的に読みます。
また一冊の本でDevOpsのことを理解しようなどという事もありえない事は、自明かと思います。

巻き起こるインシデントの数々が、この物語の次の展開を期待させる。 物語中盤を越えるに至って、ありえない程の最悪の事態に流れて行っているのがすごい。 企業のIT運用の実際がどうかは分からないが、ありえないぐらい最悪の事態を用意していくれていると思う。
最悪とはいえ踏みとどまっているのだから、最悪ではないかもしれないけど、本当に関係者各位は"どん底"である 。
ITの失敗が企業の破綻に繋がっているところをまざまざと見せられて面白いです。 その失敗というのが、これは是非とも実際に読んで楽しんでもらいたいです!!!  チームが破綻している場合に何が起きるのか。
ほんと、ありえないから!!!

上層部の妄想的な現状認識、どう見ても無理な要求、 どう見ても明らかなスケジュールの破綻、社運を掛けたサービスアプリケーションをろくなテスト期間も取らずに本番デプロイするなんて!!

IT運用責任者となった主人公の警告の無視した上層部の判断 状況の転落の程がありえない、いくら何でもどこかで歯止めが効くだろう、と思いながら読んでいたが、 このくらい極端であるから面白いのだとも思う。 DevOpsをご教授されるにあたって、とことん最悪な状況を想定するのは、意義や効果を理解してもらうのに打ってつけであり、 また、同様な事例で苦しんでいる人々に危機感や情熱を抱かせるのにも最適であるような気がしてきます。

この本はそもそもDevOpsによるIT運用を啓蒙する物ですから、 物語は、このどん底からPHOENIXのように羽ばたく事が約束されているわけです。 読者である私は主人公と共に過ごし、時に共感しながら、ITの理想を求めて 出会いと別れを繰り返し新たな知見を獲得しながら成長してきました。 彼らがこれからどのように羽ばたいていくのか、とても楽しみなんです。 (期待しすぎですって? 心配御無用です、分をわきまえた程度の期待ですから。)

The DevOps 逆転だ!